注文したお肉が卓に運ばれ、テンションは最高潮!しかし、ちょっと待ってください。よく見てみるとそのお肉、冷たかったり表面が硬かったりしませんか?
冷蔵庫から出したばかりのお肉は、温度がまだ低いため仲間で火が通りにくいのです。
そのまま焼いてしまうと外側ばかりが焼けてしまい、中は冷たいままという残念なことに…。
もし冷たいままのお肉が来たら、はやる気持ちをぐっとおさえ室温に戻るまで待ちましょう。待つ間に楽しめるドリンクやおつまみがあるといいですね。
タンは冷たい状態で出されることも多いので、注意が必要です。
焼肉では、お肉を食べる順番も大切。なぜならば、いただく順番の組み立て次第で同じお肉でも全く違う味わいが楽しめるから。基本は塩からタレ、味の薄いものから濃いものへ…という流れ。最初はタン塩、最後に一番上質なお肉をタレでいただくのが定番という人も多いのではないでしょうか。これは、セオリーに沿った食べ方と言えますね。
応用編として、
① 初に上質な肉(ヒレなど脂が強くないもの)を配することで、インパクトを最大化
② レ肉の途中であえて塩系をはさみ舌をリセット
③ 間合間にホルモン類のシャキっとした食感で口内をリフレッシュ…など。
お好みで様々な組み合わせ・順番にチャレンジして、あなた独自の焼き肉打線を組み立ててみて下さい。あっさりとしたヒレ肉は、スターターに最適!
さあ肉を焼こう!となったその時、ふと「果たしてどのくらいの焼き加減が最適なのだろうか…?」ホルモンはひたすら場数を踏むのみ!と悩んだことはないでしょうか?ありますよね!
目安としては、「赤身の肉はさっと焼き、サシの入った肉はしっかり焼く」が基本。
赤身肉は、火が入りすぎるとどんどん固くなってしまい、お肉を噛みしめる醍醐味でもある柔らかな食感が損なわれてしまいます。一方サシの入った肉はある程度焼いても柔らかさが損なわれません。何よりしっかり火を通すことで、脂の独特な甘みがより楽しめるのです。
炭火なら火の強いところと弱いところを見極め、ガス火なら火力調整をうまく活用しましょう。
ホルモンを焼くのは、とても難しい。ロースやバラなどと違い、ホルモンは部位によって最適な火加減はバラバラ。さらにお店ごとのカットの仕方によっても火の通りが全く変わってくるので、ひとくくりには語れないのです。
残念ながら、ホルモンの攻略 法は場数を踏んでいくしかない。身近なホルモン通に教えを乞うたり、自分でも様々な焼きにチャレンジして研究してみましょう。新鮮なホルモンに出会えたら、軽めの焼き加減でトライしてみるのも。ホルモンの世界の奥深さにようこそ。
どんなお肉でも、焼き加減に迷ったら店員さんにアドバイスを求めるのがベスト。
「そんな当たり前のこと…」と思われるかもしれませんが、この「当たり前」が大切な事。焼肉道を制するのに重要なポイントです。というのもお肉についての知識が豊富でお客さんの質問にしっかりと答えられる店員さんがいるかどうかは、いいお店を見分けるバロメーターの一つにもなります。
お肉ごとの最適な焼き加減はもちろん、その日おすすめのお肉や知らない名前の部位など少しでも疑問に思うことがあったら迷わず質問してみましょう。目を輝かせながら詳しい説明をしてくれるような店員さんに出会えたなら、そのお店は間違いなく大当たりと言えるでしょう。やり取りをきっかけに、思わぬ裏メニューに出会えたりするかもしれません。カウンター席のある焼肉店なら、店員さんに声も掛けやすいのでおすすめです。
焼肉店でもまれに、大きな塊肉に出会えることがあります。そんな時にぜひ試してほしいのが、何かと話題の「低温調理」。これはタンパク質が凝固し始める60℃前後の温度帯で火を通すという調理法で、近年フランス料理店などを中心に活用されています。専門店では専門の調理器が使われたりするのですが、焼肉のロースターで応用するならなるべく弱火でじっくりと、時に火から下ろしながら時間をかけて仕上げていきます。手間はかかりますが上手にできれば、内部はしっとりとした食感でありながら驚くほどの肉汁をたたえた焼き上がりになるはず。特に赤身の塊肉に適した調理法なので、見かけた際にはぜひおためしあれ。
焼肉店ではおなじみのカットレモン。塩系のお肉につけるだけでなく、他にも色々と応用が効く便利アイテムであることをご存知でしょうか?例えば、焼き始める前の網に一滴たらせば網の熱さを測る目安になります。また、お肉に付いた調味料が多すぎると感じた時にさっとレモンでひと拭きすればワイパーのようにも使えます。
つけダレが甘すぎる時レモンを絞れば、酸味が効いてさっぱり食べやすくなるはず。レモンを使いこなせれば、焼肉がさらに楽しくなります。
参考文献
『焼肉美味手帖』藤枝祐太 監修 世界文化社